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そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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紡いでいきたい伝統とは

日本には伝統と呼ばれるものが沢山あります。暮らしの中には、いつもそばに存在しているのではないのでしょうか。それは、儀式だったりものだったりする訳ですが、私は仕事柄、他の分野に疎い為、(自分勝手ではありますが)伝統工芸に焦点を当てて書いていきたいと思います。

 

 

 

工芸には、伝統と現代の二つの顔を持っています。しかも、両者の共存は必然ではないかと考えます。何故なら、先にあった伝統も始まりは現代であったはずですし、その後に起きた現代も、自然発生の為せる業だと考えるからです。伝統という確かな土台があるからこそ、壊したり自由に遊べたりするのだと思います。

 

工芸には様々なジャンルがありますが、どれも殆どが、手作業で行われています。これこそ、モノづくりの本質なのかもしれませんが、モノとひとが相互することによって工芸は成り立つのだと思います。モノに命が吹き込まれ、温かみや人間味が加わることで人は魅了され、心揺さぶられるのでしょう。切っても切れない関係ということでしょうか。

 

 

ヨーロッパなどの海外では、真新しいものよりも伝統を重んじ、何度も直しては使い続けるという文化がありますよね。DIYも盛んで、修復や修繕をしてモノに愛着を持っているように感じます。ところが、日本ではどうでしょうか。「もったいない」という言葉があるにも関わらず、なぜか現代の人は、買ったほうが安いからと真新しいモノに飛び付いたりします。ちょっとでもお皿が欠けてくれようものなら、これを口実に捨てやすくなっているのではないかと思う程です。

しかしこれも、元々が気に入ったモノで無かったという証ではないかと思います。本当に心魅かれ気に入ったモノであれば、あなたはきっと、どうにかならないかと奮闘し、模索するはずです。実際、本物の工芸品はどれも修復させる事が出来るのです。直す技術を持った職人さんは全国に居るはずなのですから。

 

 

 

紡いでいきたい伝統って、一体なんなのでしょうか。

 

 

残したいもの、守り抜きたいもの、伝えていきたいもの…

 

 

それは決して、”紡いでいかなければならないもの”ではないはずです。 

 

 

 

 

ただ闇雲に、伝統を受け継いでいこうと、やり方を真似たりしているだけでは、上手くいかず壁にぶつかります。本当に守りたいものを守り抜く為に、あえて改新させてみるということも大切かと思います。時代に沿うように形を変えながら紡ぎ育てるものが、私達の伝統ではないかと思うのです。

 

伝統とは、そこで留まっているものではないはずです。

 

 

もう既に、暮らしの中に溶け込んでいるのですから。