そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

a line

大事なことを思い出した

こんにちは、シタエッティです。

 

先日、小松市立博物館の展示を観てきました。

博物館と言っても、古い化石などが見たかった訳ではなく、お目当ては特別に公開されていた九谷焼の資料についてでした。

年末に無料のチケットを頂いたのを会期が長いのをいいことにすっかり忘れていて、その日たまたまカバンに入っていたのを見つけました。元々興味があったのと隙間時間が少しあったので、急でしたが見に行く事に決めました。

平日の午前中だったのですが、ちょうど小学生の団体と思いっきり被り、(本当に限られた時間しか無く、ゆっくり見ることは無理なこともあり)やっぱり今日は諦めて後日にしようかと思いました。が、思っただけでした笑。

「ちょっと賑やかですが良いですか?」と、受付で気遣って頂き、私は「はい、構いません」と言って、一人気にせず小学生の波に乗って行きました。

私が求めていた九谷焼の資料が目の前に現れます。

古い実物の下絵図案と、それを受けての焼き上がり作品達。。

圧巻です。

 

ほぼ図案の見本通りに仕上げられているのですが、所々変更した箇所もあったり筆使いも違っていたり…。時間が無いと分かりつつも、じっくり見てしまいます。

当時(明治、大正時代)の作り手たちが本気で描き上げた下絵図案は、完成品と同じくらい価値があると見直されつつあるようです。

確かに、ガラス越しに見るそれは、本当に精巧に描かれています。仕上げの色までつけられた絵は、立体物を平面へ展開した図の中に納められ、生地の形を理解しつつ絵を決めていることがよく分かりました。

(パンフレットの写真を載せておきますね)

f:id:shitaetty:20180202180352j:image<上>展開図の中に図案を入れ込んだもの。<下>焼き上がり作品。

 

いかがでしょうか。

ほぼ狂いなく仕上げられていますよね。

 

鳥の動きや間合いなど…。

 

 

当時海外で人気を博したジャパンクタニは、こういった土台の上に成り立っていたのだと、はっきり認識することが出来ました。

 

当たり前のことなのですが、丁寧に仕上げていくことの大切さ。改めて感じました。

 

感覚や直感に頼った作品作りは一期一会でもあり、それはそれで素晴らしいのだけど、じっくり作品と向き合って一つのものに集中し根気よく制作していく様も素敵だなと思いました。

今回無理矢理にでも見に行けて良かったと思います。

 

 

何か大事なことを思い出した気がしたから

 

 

 

私は工芸品を作りたい。

歴史資料として残って行くような美術品。

 

まだまだ技術も知識も経験もないわたしだけど、こんな素晴らしい手本を簡単に見ることが出来る環境がとても幸せです。有り難いことです。

 

所蔵されるくらいの貴重な物ですから、現物を広げて毎日見ることは誰しも不可能なことですが、こうやって時折本物に触れるだけで良い刺激になるのかなと思います。

新たな気づきや学びがあります。

 

 

**

最後に、、

いつもなら怯んでしまうような状況だったのにもかかわらず、それに負けず自分の欲求を満たせたこと…とても満足しています。

時間も短かったけど、集中して見ることが出来たので、すぅーっと自分の中に入ってきたような気がします。

 

より良いものづくりに、これからも励みたいと思います。

自分の好きがいっぱい詰まったものづくり。

 

それでは、また。