テストピースを
いくつか作りましたが、
上がりに満足いきませんでした。
自分なりに納得出来るものではなかったのです。
でも、よく考えると、
元々、下絵付けの色を見出すことは難しいと思っているからなのかもしれません。
こりゃ出だしからいかんですね。笑
しかし、
テストピースの濃い色や淡い色を眺めていると、ふと、前にお話していた染付の濃度における特徴を伝え忘れていたのを思い出しました。
今日はこちらをお話しようと思います。
染付は結局、下絵付けの技法ですので、テストピースのことも軽く説明しつつ話を進めていくと、
テストピースというのは、色見本なのですが、実際に使用する状況を一目で理解出来るように、私は以下を意識して作っています。
・普段使う濃さで引く線(線描きを再現)
・薄めの濃さで引く線(線描きを再現)
・線の中を絵具液で埋める(ダミを再現)
同じ色でこれらが一通り揃っていれば、大体の作品の焼き上がりをイメージしやすくなるのです。
テストピースでは、意図的に線の濃さをズラして(絵具を薄めて)見え方を確認しているのですが、線描きの濃さは描くスピードにも左右されます。
同じ絵具の濃さでも何故そうなるのかというと、
下絵付けとは、素焼の生地に描く技法である為、生地の中に絵具が染み込むスピードが違えば、発色してくる濃度も変わるということなのです。
例になるかは分かりませんが写真を載せておきます。
こちらは立浪文(たつなみもん)の器をズームしたものです。
波頭と背後の波は似たような濃さですが、一番奥にある(画面上では器の縁)波は少し薄めになっています。
意図した訳ではなく、波頭を描く時よりもスピードが速い為に、そう焼上がったのだと思います。
遠近感のことを考えれば、後ろの波が濃くなるのは不自然なので、この場合はアリだと思います。
ただ、慣れない題材を描こうとすると線が途切れ途切れだったり、得意なところと苦手なところと描くスピードが違えば焼上がりの色は一定になりません。
なので、いつも平常心で同じように描けば良いのでしょうが、なんにせロボットではない人間ですのでここには感情が入ります。
ある作家さんは、「少しの色ムラはあった方が、手描きの風合いが出るから良いのよ。」とおっしゃっていましたし、私自身、度が過ぎなければアリかなとも思っています。
こういうところも含めて、下絵付けって深いなぁと思うのです。
自分が描き上げたものが、嘘付くことなく焼成後には全て現れるのですから。
やり甲斐があり、面白いです。
…
少し元気になりました。
上手く行っても行かなくても、この世界は掴むことが出来ないくらい深いものだから、何をしても大丈夫なのかもしれないですね。
良かった。私が好きなのが下絵付けで。
それでは、また。