こんにちは、シタエッティです。
私は九谷焼の絵付けをしていますが、主に手掛けているのは日常に使える器です。オブジェや置物は制作していません。
日常に使えるといっても、比べるのは対象外かもしれませんが、100均で買えるようなものとは違います。やはり手づくりならではの味わいがある、ちょっといい器です。また、食器ばかりでは無く、金沢はお茶の文化も栄えていますので、それに関連したお道具類も制作しています。酒器もやりたいのですが、なにぶん私自身、お酒があまり飲めないので、どういうものが使いやすくて求められているのかが全く見当もつかず…これから勉強しながら、今後手掛けて行きたいなと考えているところです。
さて、
前置きが長くなりましたが、器を購入するということについて、自分なりにお話しようと思います。
まずは質問しても良いですか。
「あなたは自ら買った経験は、おありでしょうか。」
結婚式の引出物で貰ったり、いつからあるかも分からないものだったり、ポイントを集めて貰うようなものだったり、、、
器というのは腐りませんから、一度手に入れてしまえばいつでも使えます。
ですから、購入までに至るっていうこと自体、そう頻繁には無かったりするのかなと思います。
器好きでない限り、私のような庶民派は100均で済ませたり、そうでなくても必要に差し迫って、ようやくデパートにまで行き、購入に踏み切るのではないのでしょうか。
ふらっと立ち寄って、良いなと思っても、思うだけで確固たる購買意欲にはならないですよね。
よっぽど魅力的で衝動的にならない限り、まずはお財布との相談になって来ますので、買うつもりで店舗に行かないと家に持ち帰るのは難しいと思います。
買うつもりがあるという事は、おそらく、お目当ての作家さんが居るパターンが多いかと思います。その他になると、予算が元々あって、例えば御祝の品で選んだりということもあるかもしれません。
けれど、どの場合でも購入するかどうかを決める際には、誰もが通る道があると思います。
それは、
”使っているイメージが出来る”
というものではないでしょうか。
例えばこういう感じ
これは飯碗を、小鉢に見立てて盛り付けたものです。飯碗だからと言って、何も盛るのは御飯に限らなくても良いのです。
見た時に、器に対してこのようなイメージが出来るか出来ないかで、購買意欲というのは決まるのではないかと思うのです。
想像力云々と言う話ではないと思います。
器を見て、勝手にイメージ出来るものが、あなたが求めているものなのだと思います。
また、お手入れが楽かどうかも、判断材料として挙がるのではないかと思います。
焼締のようなマットな質感のものは、汚れが付きやすい為、長時間浸かる汁物は避けたり、食洗機対応ではないものは手洗いしたりと、気になるところはあるはずです。
そしていよいよ現実味を帯びていくと、女性の方は特に気になるでしょうが、食器棚のどこに片付けようかと妄想しだすのです。
こういった幾重にも重なる思考をくぐり抜けて、器というのはあなたの手に渡るのだと思うと、
ーー出会いの中の奇跡ーー
と感じてしまうのは、あまりにも安易で稚拙な考え方になりますでしょうか。
今は情報とモノで溢れ、本当に欲しいものが分からない時もあるかもしれません。
しかしその中でも、ピンと来る時があるとすれば、それが一番の買い時だと思います。そしてその時、大事にすべきなのは、自分のセンスを信じることであり、その先にようやく、ただ単なる既成事実では無い、自らが満足した器を手に入れることが出来るのです。