そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

a line

未来について

こんにちは、下絵付け大好きなシタエッティです。

 

今日はちよっと大きな題について、自分なりに向き合いたいと思います。お付き合い頂ける方はこのままどうぞご覧下さい。

 

 

 

 

 

 

九谷焼と聞いて、あなたは一体何を思い浮かべるでしょうか。どこで焼かれている焼物で、どんなものを指すのかさえ、何も知らない方も多いかもしれませんが、このブログに興味を持って読んで頂いているあなたは何かとご存知かもしれません。ちなみに私が思う、一般の人が抱くであろう九谷焼のイメージは、”九谷五彩の色絵がびっちり入った重厚なもの、それゆえ値段が高い”というものです。とはいえ、あくまでこれも物は言いようですので、もっと鋭い偏見の目もあるかも知れません。

 

まず、一つづつ紐を解いていくと、九谷焼は石川県の焼物であり、伝統工芸品に指定されています。九谷焼らしさをしっかりと守って制作に励む作家さんや、現代の暮らしに合うような作品を手がける作家さんもいらっしゃいます。それは、年齢関係無くです。

また、九谷は色絵の文化が発展しており、様々な技法や技術があります。それに合わせ絵具もとても多く、それぞれが自由に選んで日々制作しています。これは本当に一種の特徴であり、強みではないかと思う程です。が、驚くべきことに焼かれている地域が、県内至る所(金沢市小松市能美市加賀市)に分かれています。再興九谷などの歴史を経て、窯元が点在しているようなのです。こんな焼物の産地って他にあるのでしょうか?地元すら全て網羅していない、恥ずかしい限りの無知な私は、このように疑問点がでてくるのです。

 

しかし、九谷の先生方とお話していると、それ程力まなくてもいいのかも知れないと拍子抜けしてしまう事もあります。それは、自分が扱っている技法や技術以外、詳しく分かっていないという事実です。しかしそれは、むしろ興味が無く、知る必要が無いから自分が極めたい分野だけを優先して、他に目もくれず邁進してきた証なのではないかと思うと納得出来ます。

 

 

九谷焼は分業制で作られていることも、また一つ特徴としてあげられます。分業制というのは、各工程ごとに分けて職人が置かれ、仕事をする制度になります。その道のプロにお願いする方が、効率が良いと昔の人は判断したのかも知れません。その名残りか、今もなお根強く続いています。私もその一人です。自分のやりたい事を成し遂げるには、私には絵だけを描く、絵付師が向いているのです。そこにだけ一点集中して仕事が出来るのは、とても有難いことです。

しかし昨今、この分業制をどうにかしよういう動きもあります。九谷はこの制度があってこそ、ここまでの多彩なものづくりが出来ているはずですので、変に排除しなくてもよいのではないかと思ってしまいます。もし、何か問題があるから制度を変えようという動きだとすれば、私は上手く行かないのではないかと感じます。そうではなく、九谷焼をもっと魅力的で面白くさせようという為であり、より良くする為なのだとしたら、そういう選択も良いのかもしれないと、まだ無い未来を私は展望してしまうのです。