そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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仕入れた生地の詳細のお話。

中鉢と小鉢。
中鉢は轆轤成形、小鉢は鋳込成形。

f:id:shitaetty:20171027222932j:image見ると色も違いますね。

 

中鉢は若手の個人作家さんに注文しました。最近知り合ったばかりの方ですが、私の唐突なお願いにもかかわらず急ぎの仕事を引き受けて下さいました。仕上がりが良い感じで嬉しくなり、また違う注文も追加でさせていただきました。こちらも楽しみです。またご報告できるかと思います。

小鉢は、本当は鋳込の小皿が欲しくて製陶所に行きましたが、そこで可愛い形を発見しこれに決めました。事務員さん曰く、”雲型”らしいです。私としては、”松”か”州浜”かな〜と思っていたので、珍しさと驚きで余計に愛着が湧いています。

 

さて、鋳込とは何ぞや。よく分からない方もいらっしゃるかもしれませんので説明させて頂くと、

鋳込(いこみ)とは、粘土に粘りと強度をだすものを加えてドロドロにしたものを石膏型に流し込み型取りする技法です。

この為、通常の轆轤で回した生地よりも密度が高くなり、呉須の吸い込みが少なくなります。描きやすいように呉須を調整すると、薄く当たりやすくなります。多少引っかかるか引っかからないかくらいのギリギリの濃度で描いた方が、仕事もしやすく発色もきれいのようです。

轆轤生地と鋳込生地は成分が違うので、同じ呉須を使っていても、もちろん発色は違います。

若干ですが、鋳込は鮮やかで軽めに仕上がる気がしています。

そして、生地の価格が全然違います。 鋳込成形は型物ですから、同じ形を素早く量産出来る為、轆轤の手引きのものに比べると安いです。

最近は利用していなかった鋳込生地でしたが、今回の展示(金沢からお正月)に向けてあえて用意しました。

何故かというと、去年参加していた経験者からこんな話を聞いたからです。

 

初めての方に自分を知ってもらえるよう、

「名刺がわりに作品をお持ち帰り頂きたい」

 

なるほど、

私も上品で格があるものとざっくりとした大らかなものと二つのタイプを見てもらおう、と思い用意することにしました。

とは言え、下代の差があるだけの違いですから、描いていく気持ちの本質は変わらず仕上げています。

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私はほとんど成形はしないし、決まりきった形かもしれないけど、その限られた枠の中で精一杯の自己表現をしています。

・絵付け(下絵付)が好き

・生きた線を描くことに一点集中したい

 

時には人に流されて色んな事をするのでしょうが、きっとそれもまたいい経験。

やりたい事をやりたいと思ったタイミングでやる。

とにかく今は幸せです。

 

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仕入れた生地の話から飛んでしまいましたが、この作品は来週中に焼き上げ予定です。

これからダミに入りますが、ダミ液が足りそうにないので呉須擦りから準備です。

 

といって材料すら無く、先ほど急いで買って来ました!アハハ(°▽°)

またやっちゃった〜。

 

 

頑張るぞ!

それでは、また。