そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

a line

内心思うところはありましたが、それは後半に告白することにして、

先日の話をしようと思います。

 

ある所に搬入してきたことを、いつかの記事に書いていましたが、その一週間後、ついにそのイベントに参加してきました。

金沢市内のホテルで行われるイベントだったのですが、「器と料理を愉しむ会」と銘打った、定員30〜50名のランチ会でした。

私はもちろん作家の立場で参加させて頂きましたので、当日早めに出向き、器を並べる等の準備をしていました。

今回出展したのは私を含めて6人の作家でしたので、ホテル側が用意して下さったテーブルいっぱいに、沢山の多種多様な九谷焼を並べることが出来ました。

上絵の華やかなものや、かわいいもの、染付や土物など、作り手それぞれ個性あるものでした。

 

開始時間が近づくに連れ、会場にお客様がどんどん集まってきていました。

器に興味のある方は展示ブースまで見に来て下さっていましたし、お話も交えながらゆっくり見て下さる方もいらっしゃいました。直接生の声を聞けるので、私にとっては楽しく嬉しい体験でした。

 

作家がご飯を食べるか食べないかは、どちらでも良かったそうなのですが、ランチが終わるまで突っ立っていてもつまらないし、滅多に無いこんな機会ですから、折角なのでランチも楽しんできました。

テーブル席は指定では無く自由だったので、お客様が全員着席してから、作家は空いた席に座りました。

会が始まりしばらくすると、今日出される料理の実演が行われました。普段と違うのは、作家の器を使って料理を盛るという見せ場があったことのようです。和え物や煮付けを、お料理教室さながらのライブ感を演出しながら作りあげ、短い時間でしたが、お客様はランチと共に楽しんでいらっしゃいました。

会の途中にも、料理長による次のイベントのお知らせがあったり、作家の展示ブースに自由に足を運んで欲しいとの声掛けもあったりしました。

会の終わりには、レア物プレゼントのジャンケン大会もあり(本場中国の紹興酒の入っていた壺が2つ。欲しい人が前に出てジャンケンをしていました。男性2人が勝ち、その内の一人が私の隣に座っていた方でした!すごい!)、色々盛りだくさんなものとなりました。

 

 

***

このような、器を見てもらう機会になぜ恵まれたかと経緯をお話すると、

ホテルの料理長と親しいギャラリーのオーナーさんが、若手作家に”もっと発表するチャンスを”ということで話を持ってきて下さいました。しかし、今回初めての開催になると聞いていましたし、探り探りで分からないことが多く、予測を立てるのも難しいものでした。

オーナーさん自身、今回は顔つなぎだと思って参加してみて欲しいとおっしゃっていましたので、なるほど。と、あまり作品は売れないことを念頭に置いた上でこの日に臨みました。

 

案の定、惨敗。

ひとつも売れませんでした。

 

唯一の救いは、

作家6人の内、数点売れた作家が1人居たことです。

 

 

 

当初の話では、「一品だけでもいいから、作家の器に盛り付けてお客様に料理をお出ししよう」というものでした。しかし、期限が急に決まったことと買い取りで無いことには、お互いリスクが高いという話になり、ホテルの食器で全て出すことになりました。

リスクが高いと言うのは、ホテル側は買い取りでは無い器を扱うのは、対応が大変だということ。また、作家側はアイテム(小皿や小鉢など)を30〜50用意するのはある程度の期間が必要だということ。しかもその上でそれが、「ありがとうございました」と、会を終えて、手元に帰ってくるということになるならば、それこそ作り損になりかねないのではないか、ということです。何故なら、常識的に一度使用した器は販売不可になるからです。

ホテルの買い取りであれば、何も問題は無いように感じますが、そうなるとその分ランチ代に反映されてしまう為、企画した料理長のGoサインが出なかったようです。

 

しかし、今回は今回。

今後は月1ペースで開催されるようですから、色々改善する所は改善して次に繋いでくれたら良いなと思います。

今回は和食ランチでしたが、次回の10月は洋食、11月は中華になるそうです。要は、毎月ローテーションで料理が出されるとのこと。

作家も一度出たらおしまいでは無く、いつでも出て良いとのことでした。

私自身、洋食や中華を盛り付ける染付の使い方もアリだと思っていますので、また機会があれば参加したいと思っています。

 

ただ、題名に戻りますが、

内心思っていたのは、ものが売れて、ランチ代くらいは出て欲しかったなぁ…と。

あと、当日は記者が来ていて、翌日には地方新聞に載りました。が、ここでも思う所があり、切なさが残りました。まぁ、仕方無いことですが。

この様に思う所が幾つかありましたが、それでも近々のグループ展の宣伝も出来たし、少しはお客様に自分を知って頂けたので、参加して良かったと思っています。

 

作品は全く売れませんでしたが、自分が良いと思って制作したものを良いと言って下さる方が多く、大変嬉しく思いました。

「あなた、楽しんどるね〜」

という言葉も印象的でした。

 

 

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さて、ついに今日は午後から搬入です!

何ってグループ展の(^^)

 

ドキドキ、ワクワク…

 

 

 

それまで仕事場で作業です。

これも、おいおい記事にしようと思います。

 

 

それでは、また。