そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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ロクロ線を引く筆は特別なものを。

昨日の、ロクロ線を引く筆ですが、線描き用の筆とは違うものを使っています。

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シマシマな模様に目が奪われますが、注目点はそこではなく、筆先とボリュームです。線描き用の筆とは違い、毛も太めで、先がパッツンと切りそろえられています。

 

少しズーム。

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写真上は、まだ新しく、毛が残っています。

写真下は、使い込んでいて毛がまばらです。

 

上は太いロクロ線用、下が細いロクロ線用と自分の中で決めて使用しています。

理由は、ボリュームがある方が、その分呉須をたくさん含ませられ、最後まで掠れずに線を引くことが出来る為です。

一度呉須を含ませたら、二、三本は線を引くことが可能なのが、ロクロ筆ならではだと思っています。

線描き用の筆だと、そう上手くはいきません。

 

実は、だいぶ前に線描きしたそのままの筆で試したことがありましたが、線がすぐに掠れて何本も引くことが出来ませんでした。

やっぱり筆にも適材適所があるのでしょう。

 

***

ちなみに、

筆の使い方が面白いのでお教えすると、

 

呉須を含ませたら、毛を真っ平らにします。

f:id:shitaetty:20170810215048j:imagef:id:shitaetty:20170810215101j:imagef:id:shitaetty:20170810215252j:image真横から見ると筆先が細くなっています。

これを、角を立てるように使うと、何本も一定の太さで線を引くことが出来るのです。

 

建築の世界でも、設計図を描く時には鉛筆の芯の削り方をこのようにする場合があるようですね。ただ、角は立てず、平行に引いていくようですが。そうすることで、鉛筆を何度も削らずに済むのだそうです。

 

しかしこの形…

マイナスドライバーのようだなぁと毎回思います。

 

面白い。

 

 

 

 

話がそれましたが、ロクロ筆があってこそ綺麗で早い仕事が出来る為、とても重宝しています。

市販された、誰でも手に入る至って普通の筆ですが、使い込むことで馴染み、愛着あるものになっていきます。 

 

消耗品ではありますが、

線描きの筆、ロクロ用の筆、どちらも大切な私の仕事道具の一部です(^-^)