そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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頭の中の整理。

こんばんは、シタエッティです。

先日夜ふかしをしたあの日、小松市内で講演会がありました。今日はこれを、整理がついた部分だけでもまとめたいと思います。

連日の暑さで、頭がぼーっとしていますが、もはやこの時間の外では雨が降り、自宅でクーラーも効いた部屋に居ますので、上手くまとまらないのはただの言い訳になりますが、、本日もマニアック話にお付き合い下さる方は、どうぞご愛読下さい。

 

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まず、九谷焼などの伝統工芸関係で、県内ではどのくらいの頻度でこういったものが催されているのかはよく分からないですが、あまり情報として入って来ない為、開催される数自体少ないのではないかと思います。

 

今回の主催が小松市なだけあって、普段なら呼べないような方々を、講師としてお迎えしていました。

同じ陶磁器の産地、有田からお二人です。

 

一人は、佐賀県の陶磁器組合の副理事長であり、創業60年続く窯元の代表。他にも別の組合の理事なども務める男性で、歳は40代くらいに見えました。

もう一人は、女性なのですが、今年6月から伊万里・有田焼伝統工芸士会福会長になられたばかりのようで、シュッとした上品な印象の方でした。

 

有田焼は去年(2016年)、400年を迎えました。

その400年事業として大々的なイベントや企画を沢山行ったようです。そして、年が明け今年(2017年)、401年目ということで、何が変わったのか、変わらないのか。また、今現在抱える産地の問題や、その解決策をお話しておられました。

 

私は恥ずかしながら、有田焼にあまり詳しくなかった為、事前知識として講演会の前にネットで調べて詰め込んでから臨みました。しかし、ほんの触りぐらいしか頭に入れられなかったので、お二人の貴重なお話はとても興味深いものでした。

 

まず始めに、

有田焼の歩みの、泉山磁石場から始まったことや、今はお隣、熊本県にある天草陶石から粘土を作っているということなどのお話がありました。

伊万里焼という名前が有名な理由も、昔、伊万里の港から海外へ輸出されていた為だと分かりました。また、波佐見焼というのは有田の隣町に波佐見町長崎県)があり、そこで作られているようです。

何が違うのかと言えば、

有田(伊万里)焼は、ちょっといい物(高いもの)を製造し、波佐見焼は一般雑器(安いもの)を製造しているとおっしゃっていました。

区分けをすることで、かつて有田におされていた波佐見は最近、安く買い求めやすいブランドとして人気が出てきたようです。ですから今では、両者の年間売上がほぼ変わらないのだとおっしゃっていました。

産地の特徴としては、有田独特にある共販(集金代行システム)と呼ばれる制度を今でも行なっているようです。商社(たぶん九谷でいう、問屋さん)が窯元や作家に発注し、物を作らせ、お金を払うシステムだそうです。しかし、このスタイルは現代では上手くまわらず、過去20年で売上が減少しているようです。窯元や作家は、商社の言われた物を作り、それが一体どこに売られ、どんな人が買って行くのかを知らない仕組みになっているのだそうです。

(九谷とは比べ物にならない規模のやり方だと思いました。さすが、日本の先進地の窯業産業だと思いました。)

しかし、これはいかん。とした最近の若い人たちが、これからは「自分たちが作りたいものを作って売っていこう!」と動き始めて来たとおっしゃっていました。窯元や作家だけでなく、商社に所属している若手が中心なのだそうです。お話されていた方も、事実、窯元の代表ですが、組合の役員の世代交代で今の席についたようでした。

2011年から有田焼400年事業を計画し始めていたようですが、市長が代わるなどの影響で一時止まっていたプロジェクトが、実際に動き出したのはギリギリだったとのことでした。それでも予算は、しっかり何十億と組まれ、盛大にお祝いムードを高めていったようです。

事業としては、3年で17の企画をやり遂げたそうです。細かく資料にもありましたが、海外との関わりや企画展の催しなどがあり、読んでいるだけでワクワクが伝わってきました。

その中で一番成功を収めたのは、ミラノ・サローネ2016に新ブランドを発表したことだそうです。過去には1616ブランド(有田焼は1616年発祥と言われている為)も発表したようで、このメンバーが集結し盛り上げたようです。海外のデザイナーとコラボした、新しい形の有田焼は高く評価され、売上が伸び続けているとおっしゃっていました。

 

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長くなりそうなので、今日は一旦ここで切らせて下さい。また明日、続きをお話します。

 

自分勝手で申し訳ありません。

それでは、また…おやすみなさいませ…。