そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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まだ五月のはずなのに、涼を呼びたくなります。

段々と日が長くなり、日中は暑いくらいになって来ましたね。今年の夏も逃げられない暑さになりそうな予感がします。

 

 

本格的な夏はまだまだこれからですが、昨日家ではそうめんを茹でました。

ちょっと暑くなっただけで、身体は冷たいものを求めています。私にとって季節の変わり目が、一番敏感に反応するのかもしれません。

 

 

夏だからこそ熱い(辛い?)ものを食べて汗をかこう!ということではない限り、私は普通にキンキンに冷えたものが食べたいです。

 

ではキンキンに冷えたものには、どういった器が合うのでしょう。

 

まず、真っ先に思い浮かぶのはガラスの器です。透明感からの涼しさに勝るものは無いかと思います。氷の雰囲気とも合います。

漆器もなかなか良いかも知れません。刺身を盛る場合もありますし、漆器の盃に冷酒。素敵です。

陶磁器ではどうでしょうか。土肌を活かしたものや色が入ったものも素敵ですが、ここはやっぱり染付ではないでしょうか。白い余白をたっぷり持ったものはより冷たさを感じさせます。

 

元々、染付は涼を呼ぶうつわとして有名かもしれませんが、実際に活用する方はどのくらいいらっしゃるでしょうか。結局のところ、”そうめんにはガラス鉢”という感覚の無意識さは働いていないでしょうか。

 

実のところ私がそうなのですが、 実家がそうだったのできっとこれも先入観なのでしょうね。

 

ひと昔前のような寒過ぎるクーラーの使い方はしなくなった今、室内に居ると季節を忘れてしまいそうになります。

 

けれど、やっぱり日本人だなと思うのは、四季折々の豊かさを感じることに魅力を見出してしまうのです。

 

別に器なんて入っていれば何ともない話かもしれないのでしょうが、 季節にこだわって盛りつけることも、その心があれば癒しや喜びにつながっていくのだと思います。

 

 

よく夏の企画展で、涼を呼ぶうつわが並んだりしますが、私自身、染付を手掛けてるわりには季節しばりで制作したことは、あまり無かったかもしれません。

今後の課題見つけました。

うん、良いかもしれません。

 

 

 

話が飛んでしまうかもしれませんが、

最近、また九谷の先生とお話し出来る機会がありました。

 

その先生は、海外にも発表の場を作りに行っている方なのですが、私が、

 

「海外に受けるものは、やっぱり日本と違いますか?」

と伺うと、

「そうだね。もちろん。」とおっしゃったので、すかさず、

「では、日本らしいものが求められているのでしょうか。」

と伺うと、

「ん〜。と言うか、変に媚びたく無いよね。ものが一番で、ちゃんと見てくれるから。勝負出来る。」

「では、自分らしさを前面に出すと言うことですね?」

「うん、そうかな。」

 

 

 

返ってくる答えが予想通りで、嬉しくなりました。

 

 

 

やっぱり間違いはなさそうです。

 

自分らしさを追求することは。

 

 

 

そしてその中に四季も感じることが出来たなら、また違った情緒を醸し出すのかもしれないなと、ふと思いました。

 

 

第一線で活躍されている方とのお話は、身になる話が多いです。

頭の中を惜しげも無く見せてくれます。

 

それを受けて、すぐにどうこうと言う話ではないのに、時間が経つとじわじわあの時の話が効いてくるのです。

 

聞くのと聞かないのでは、そりゃ聞く方が良いですよね。

 

また他にも先生には、「何でも使えるものは使いなさい」とも、おっしゃって頂きました。

制度も、人も。

 

まだまだ色々と伺ったお話はありましたが、またこれは別にまとめたいと思います。

 

 

 

それでは、よい日曜日を。