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そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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続きです。呉須などの絵具について、学んだことをまとめます。

こんにちは、いつもご愛読ありがとうございます。

シタエッティです。

 

 

昨日の続きで、呉須などの絵具の話をしようかと思っていますが、ご興味をお持ちの読者の方は、どれくらいいらっしゃるでしょうか。

 

私個人としては、絵具はパッと見た時の第一印象を決める、重要な素材かと思っています。

 

もはやご承知の通り、私は文章力が低く、伝えたいことの半分も伝えられないかもしれませんが、今日はちょっと気合いを入れて書いていこうと思いますので、お好きな方はどうぞこのままお付き合い下さい。

 

 

 

 

 

 

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f:id:shitaetty:20170505000713j:image呉須です。

よく分かりにくいかもしれませんが、調合した呉須をガラス板の上で擦ったものになります。白く見える物体は角乳棒(かくにゅうぼう)と呼ばれるものです。磁器製です。これをつまみ、手首のスナップをきかせ楕円を描くように擦ります。師匠に教わったのは、必ず行ったり来たりするとき両方で擦りなさいということでした。そうすることで、一方向からだけではなく、二倍擦れることになるので効率が良い上に、より粒子が細かくなり、綺麗に発色するのだと教えられました。

 

そして、水では無く、よく煮出したお茶を使うことも特徴かと思います。カテキンだとかタンニンだとか言う、要は”お茶の渋み成分”が呉須に入ることで、伸びを良くさせたり、一種の自然の定着剤となるのです。伸びを良くさせるのはお茶だけではありません。もっと筆から絵具を降りやすく、描きやすくする為に、アラビアゴムという材料も入れます。

ただし、これらはちょっと注意が必要で、入れ過ぎるのは、かえって良くないということです。どういうことかいうと、そもそもが呉須ではない不純物を入れていますので、何でもかんでもでたらめに入れ過ぎることは、綺麗に発色しようとする所からかけ離れていきます。呉須が乾いている状態で、メリメリと割れていれば、それは「お茶が効きすぎている」という合図であり、そうなった場合、「水を使うように」と教えられました。また、アラビアゴムは入れ過ぎ防止のために、「耳かき一杯分づつ入れるように」と指導されていました。

 

こういった配慮が、使い易く発色も良い、最高の絵具にしていくのだと学びました。

 

 

呉須以外の絵具で、赤絵具を使うこともありました。

赤絵は上絵付けの技法になるので、染付を施した本焼後に行ないます。擦り方も、また特徴的で、ご存知の方もいらっしゃるかもしれませんが、「墨は餓鬼に磨らせ」と考え方が同様で、赤もできるだけ力を入れず大きくゆったり擦ることが重要です。こうすることで粒子が細かくなり、発色が良くなるのだと教わりました。目安としては、角乳棒で擦って向こう側に寄せ集めた時に、戻ってくる上澄み部分が少し黄みがかって見えると、上手く擦れた証なのだそうです。

 

文章にすると難しく聞こえますね…。

 

 

まぁでも仕方ないですね…。

話を次に進めましょう。

 

 

 

和絵具(わえのぐ)も使う機会がありました。もちろんこちらも上絵付け用になります。この絵具は、焼くとガラス化する為、立体感が出ます。陶房では、赤絵具を含む、九谷五彩がしっかりと揃えられていましたので、和絵具の色は”緑・黄・紫・紺青”でした。

和絵具を擦る際は、必ずふのりを入れます。ふのりというのは、元は板状の原藻でなのですが、これを煮溶かしトロトロにします。水だけではどうにもまとまらない絵具に、粘り成分を追加することで、もったりとまとまらせることが出来るのです。

こちらの注意点は、入れ過ぎは絵具の乾きが遅くなる為、仕事に手間がかかることです。もしかしたら、ドライヤーは必須アイテムではないかと思うくらい、広範囲で和絵具を塗る時は、これで乾かしながらになるのですが、それがふのりが効き過ぎていると、なかなか乾かず苦労します。絵具の色によって、使い易くなるふのりの量もまちまちでしたので、少しづつ入れて調節することが必要でした。

 

そして、上絵付けをする下準備として、膠(にかわ)液を使い、土台となる生地を一度拭き上げます。これは、熱湯でお湯拭きしても同じ効果があるのですが、お湯は冷めたら意味が無いことと、油分を拭き取る為には安定していて効率的な為、よく使っていました。手垢や指紋がついてる状態だと、絵具は弾き、上手く生地に載りません。こういった油分を取り除くことを目的としていました。

私は、学生時代に日本画で膠を使っていた為、勝手に親近感が湧いていたのですが、見た目も原料も全く違うので驚きました。日本画で使うものは、棒状になった動物性のゼラチンで匂いもきつかったのを覚えています。対して、陶芸用は食用ゼラチンのようなペラペラの板状で、魚のゼラチンだと聞きました。どちらも名前は膠なのに不思議ですね。膠は、ゼラチンという意味なのでしょうか。

…また話が逸れてしまいました、ごめんなさい。戻します。

 

膠液を作る際は、濃度を指導されていました。薄いと拭き上げる意味が無く、濃すぎると筆が引っかかる為です。ちょうど良いのは、手のひらに付けて両手を合わせ、少し吸いつく程度なのだと教わりました。

 

 

絵具に関しては、大体このような感じで学びました。呉須は、地域によっては扱い方が違うようですが、どれが正しいとかではなく、自分がやり易い方法でするのが一番だと思います。私は、陶房で習ったまんまを変えずに続けていることに過ぎません。

 

今回はかなり気合いを入れて、丁寧にマニアックに話しましたが如何だったでしょうか。

 

 

 

 

もうお腹いっぱいでしょうか。

 

 

 

 

 

 

最後にもっとしつこく、マニアックな話を一つしても良いですか?

(ダメと言われてもするのですが。苦笑)

 

 

 

 

 

 

絵具を擦る、基本アイテム二種の末期についてのお話です。

どれも絵具は違えど、角乳棒とガラス板にて行います。

 

角乳棒は、持ち手以外は焼締めただけになっている為、購入直後の使い初めは、滑らかな楕円を描きにくいです。よっぽど酷い時は、私は紙ペーパー上で整えるのですが、それでも通常は、ガラス板で呉須を擦り続けていく月日と共に馴染み、段々使い易くなります。

 

 

そして、釉薬の部分まで到達しペラペラになり、

使い潰された姿は、

 

 

 

 

 

何とも言えない愛嬌を、感じずにはいられません。

 

かわいいやつです。

(画像が無く、分かりづらいこととは思いましたが書いてしまいました。すみません。) 

 

 

 

 

 

同じくガラス板の方も擦り減っていき、何十年も使用すると、こちらは…

 

 

 

 

 

 

最後はパリっと割れます!

 (これは、想像し易いかと思います。)

 

 

 

 

ガラスである事を、思い出させてくれる出来事なのですが、過去にこういった状況に出会ったのは、私は陶房に居た頃の一度しかありません。

 

それだけ長い年月の間、道具は愛用出来るということでしょうね。

私が今使っている、道具は一体いつ末期を迎えるのか…  

 

きっと、終わりが来た時、感慨深い気持ちになるのかなぁと思います。

 

いや、それとも以外とあっさり受け止めるのかな…

 

 

 

 

 

そんなどうでもいい妄想もしながら、私は日々制作していくのです。

 

 

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長くお付き合い頂き、ありがとうございました。

 

もうすぐ、3000文字になるところでした。

…ではなく、微調整していたら超えてました。

 

 

 

私も疲れましたが、あなたも疲れましたよね。

 

お節介かとは思いますが、どうか頭と目を休ませてゆっくりして下さい。

 

 

それでは、また。