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そして線を大切に。

九谷焼絵付師です。主に下絵付けを中心に制作しています。上品で味わい深い下絵の世界を目指して…

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染付が大概の場合、安く手に入れやすいことについて。

安く手に入れられることは、多くの人に行き渡ると考えればとても良い印象なのですが、それゆえ、価値が低いとみなされることもあるかと思います。

 

作る側の私としては、そこに少し悲しさがあります。

 

なぜなら、前記事にも書いていたように、簡単そうに見えて、意外と奥深くてあなどれないのが染付だからです。

 

 

 

リスクの話をしていませんでしたので少しお話すると、

 

染付は下絵付けですから、素焼の生地に描きます。この事が、いくつかのリスクを負う発端になるのです。

 

まず素焼生地は、まだそれほど丈夫でないため、持ち方が悪かったり乱暴に扱うとすぐに破損してしまいます。描く前から欠けたり、取手がとれたりなんて、生地師に申し訳ない上に最悪です。テンションも下がります。

そして、順調に描きはじめると次に、思うように描けなくて失敗したとします。さて、どうしようかとすると、呉須は染み込んでいるため、カッター等を使い生地ごと削るしか方法はありません。削った後、軽くまたペーパーでならしてから描くのですが、周りとの濃さを全く同じにするのは、はっきり言って無理というものです。ちょっとしたやり方で似たような濃さには出来ても、完全に同じにはなりません。なぜなら削ってしまったことにより、その部分だけ吸水率が変わるからです。

線描きを終えてのダミに入っても、同様のことです。破損と失敗。ただ、ダミでの失敗は致命的です。たっぷり含ませた筆から、生地に大量の絵具が流れてしまうと、泣きそうになります。全て削らなければならないですので。そしてまた吸水率が変わる為、面で埋めるダミは線描きよりも、もっと大変な思いをするのです。

そして無事に釉掛けまで到着して焼き上げても、亀裂やゆがみ、鉄粉が出てくればおじゃんです。今までの苦労が水の泡となる瞬間です。

 

 

このように、本焼後すぐに完成を迎える染付は、多くのリスクをはらんでいます。

 

 

 

青一色により、嘘がつけないのです。

 

 

 

失敗した箇所は隠そうとしても

必ず現れます。

 

 

 

 

 

 

そして、

 

(染付に限らず、焼物全般に言えることでしょうが)

 

 

 

 

何気なく並んでいるそれらは

作家自らが厳選した自信作なのです。

 

 

 

 

 

だからもしも

 

 

 

あなたがときめきを感じたならば

 

 

 

 

 

それは真実です。

 

 

 

 

 

 

買う買わないは別にして、先ずは、いかにより多くの人に良いものを良いと言ってもらえるかが、無名の作家にとっては励みになるのです。