そうは言っても今までずっとあった概念ですから、時折顔を覗かせます。
でも、悪いことだとは捉えていません。
ものづくりする上での苦悩は、必然だと思うからです。もしかしたら、好きで苦悩しているのかも知れません。ですから、よっぽどそれが耐えられなくなるまでは、私は辞めずに創作し続けるのだと思います。
ある九谷焼の先生に、「あなたは手がいい。いい手をしとる。20年続けてみなさい。」と、言われたことがあります。当時は褒められて舞い上がっていましたが、とても印象に残っている為、今でも自信が無くなりそうになると、時々思い出しては制作に励んでいます。
20年続けなさいの意味は、自分の中で何かを掴めるようになるまで、それくらい掛かるというものです。あの時の私がそのまま受け取っていたこの言葉には、実は先生が私に伝えたかった、もう一つの意味があったのではないかと、深読みしていることがあります。
それは、
失敗を恐れず、安心して今やりたいことを思いっきりしてみなさい。
先生はこのことを教えて下さったのではないかと、今の私には思えてならないのです。
ものすごくシンプルですよね。
やりたいことをやる。って。
ただ、他人の目を気にしているうちは、これがなかなか難しいのです。
「自分は自分。これで良い。 」ってことが。
私自身も、今やっと向き合えて来ているので、まだ完全ではないし揺らぎっぱなしだけど、あの思い込みを解除出来たことで、気分が軽くなったのは確かです。
私があの思い込みを持っていた時、
私は別の誰かになろうと必死でした。
でも、そうじゃなかった
私はわたしになるだけで良かった
これに気づけただけでも、自分にとっては大きな成果だと思っているのです。
人は考え方、感じ方、捉え方のどれでもたった一つで、人生を楽しむことも苦しむことも出来るのだと知りました。
それならば私は、人生を楽しむ方で歩んでいきたいと、切に願わずにはいられないのです。