様々な個性を持つ染付。
中国の景徳鎮(けいとくちん)が有名ですが、ベトナムの安南(あんなん)染付や、日本では伊万里(いまり)も素敵です。
青一色の世界ですが、よく見ると違う雰囲気をそれぞれ持っていることに気がつきます。それは生地の成分や、呉須の調合、焼成方法などの複合的な要素により差が生まれるからなのですが、現在作られている染付もこれに当てはまります。
そして描く人が違えば、これもまた雰囲気が変わる要素になります。
もっと言うと、描く人が同じでも、生地の厚みや成分の差でも全く違うものに見えてくるのは、やり過ぎ感が否めないですが、これもまた真実なのです。
面白いですよね。
どれも同じと括っても、よくよく鑑賞してみれば、それは間違いだったと分かるはずです。
渋い青
緑がかった青
鮮やかな青
軽い青
真っ白な生地
グレーがかった生地
ぽってりした生地
シュッとした生地
釉薬の具合
滲み
ダミのメリハリがある、ない
私なりの鑑賞ポイントを書いてみましたが、他にもまだまだ沢山あると思います。
知識が無くたって、何も難しいことは考えず、見たまんまの印象を受け取れば良いと思います。そうすれば、
「あー。なるほど〜。」
と、納得するはずです。
染付が好きな方は、器好きな玄人のイメージがありますが、図案も鑑賞ポイントに含まれていると思います。
古染付風(こそめつけふう)・・・素朴でシンプル、ゆったりとした雰囲気。
唐子(からこ)や、漢詩に出てくる題材もあったり、また、帽子が描かれただけのモダンなものもあります。
小紋(こもん)・・・細かい連続した模様。青海波(せいかいは)や亀甲(きっこう)など。
模様によって意味が異なります。見たこともないオリジナル小紋を含めると無限にあります。
吉祥文(きっしょうもん)・・・末広がりの扇や松竹梅など。
お祝いのメッセージが含まれています。意味が分かると面白いです。
古典的なものはこのような感じです。次に、
独創的なもの。こちらは、それぞれの作家自らが考案した図案です。内なる自分から生み出されたデザインは、作家の内面を垣間見ることが出来るかもしれません。
最後は写実的なもの。こちらも結局のところ、作家自らが考案することには変わりないのですが、その出だしが現実にあるものとさせて下さい。草花や鳥などを、濃淡だけで魅せるものです。現実世界では青ではないはずの題材を描かれていることが多いので、鑑賞する人が自由に色を想像することが出来ます。
色んなパターンのものを見ていくと、自分が好きな染付が、分かるようになっていくと思います。
綺麗に仕上げられたものが好きなのか、味わいのあるラフなものが好きなのか。色々です。
人の美的感覚は、千差万別なところがありますので、私なりのポイントをぐちぐち並べましたが、あまり決まりにこだわることなく自由に鑑賞される事が、染付を楽しむ秘訣だと思います。
それでは、また。